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132 飢饉に気づかなかったシマフクロウ


 私はシマフクロウの神さまで、人間の村を守って暮らしていました。しかし、近ごろは村を見守るのも忘れて、毎日刀のさやの模様を書いたり、細工ばかりに夢中になっていました。

 ある時のこと、トンビの神さまが来て、

(トンビ)「シマフクロウの神さま、山が雪深いためか、村にはシカも何も食べ物がなく困っています。神さまともあろうお方がどうして見てやらないのですか」

 と、そう言いましたが、私(シマフクロウの神さま)は見向きもしないで知らん顔をしていました。

 ほかにもタカなどいろいろな鳥の神さまも来て、

(タカなど)「村人を助けてやらなければならないのに、どうしてあなたは見てくれないのですか」

(いろいろな鳥)「なんとか頼むから、その村の人を助けてやってくれ。シカやなんか獲れなかったら、みんな食べ物もなくて困るんだから」

と、いろんな鳥の神さんたちが来て言っても、私は目を開けもせず、知らん顔して自分の仕事ばかり夢中になっていました。

 ある時カケスの神が来て、

(カケス)「神さまとして村を守護するために来ているのに、どうして村のことを見もしないで自分の仕事ばかり夢中なってるんだ」

と言っても、やはり私は見向きもしませんでした。

 ところが、カケスの神さまはいろいろなことをおもしろおかしく言うので、あんまりおかしいもんだから私は大きな声を出して笑って、ついにそのカケスの顔を見て目を開けました。

(カケス)「このシマフクロウの神さんもなかなかのもんだ。神さまとして人の村に来ていて、村人が困っているのを助けるのが神さまの仕事なのに、いくら言っても知らん顔して自分の仕事ばかりしているとは」

 そう言って怒ったり笑ったり、色々な笑わせるようなことをカケスが言うものですから、私は笑ってそのカケスの顔見たり、そのうち本当に村の方を見たところが、なるほど雪深いためにシカも獲れない何もない、みんな食べ物がなくて困っているのが見えました。

 私は「本当に自分としたことが。何とかしてやらなければ」と、こんどは天の神さまに向かって、

(シマフクロウ)「人間たちが食べ物がなくて困っています。人間のいる所へシカを下ろしてください」

 と頼み、シカ何十匹だか山へ天から下ろしてもらって、シカを放してやりました。それからはその村ではシカを獲りに行ってもたくさん獲れるようになりました。

 私は村人たちに夢を見せてそのことを知らせたので、村人たちは私や、頼みに来たカケスだのトビだの色々な鳥たちのおかげで助かったということを知り、酒を作れば作るたびに、その鳥の神さまたちを拝みました。

 私も人間の村を見守る仕事をおろそかにしたことを反省し、それからは村人たちが何不自由ないように村を大事にしました。

 と、シマフクロウの神さまが言いました。



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