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124 祖母に育てられた娘と糸虫

あらすじ:高橋靖以

 私はおばあさんと二人で暮らしていた。私はおばあさんを手伝い家の仕事をしていた。私は成長するとおばあさんの代わりに家の仕事をした。家の外には小川があり、私はそこで一人で遊んでいた。何もほしいとも思わずに暮らしていたが、ただ不足に思うのは男性の捕らえる獲物だけであった。

 ある日小川に行って遊び、夕方になり家に戻って夕食をとると、どこから来たものであるか、神のような人が入ってきて、口元に笑みをうかべながら上座に座った。私とおばあさんは畏まっていた。

 しばらくするとまた大きな男が入ってきた。私はおそろしく思った。大男は神のような人が座っているのを見て怒りの色をうかべた。大男が何か言うと神のような人は怒り、「何をしにきた」と言った。二人は喧嘩をはじめ外に出た。真夜中になると何の音もしなくなった。

 翌朝見ると外に大きなクマの亡骸があった。私はとても驚いた。おばあさんもそれを見て驚いた。おばあさんは火の神に感謝の祈りをささげた。

 その晩夢を見た。神のような人が私の方を向き、半ば笑いながらこう言った。「娘よ、私が話すからよく聞きなさい。私はマツモムシの神(ケトゥペトノ)だ。私が家のそばの小川にいると、いつもおまえが小川をきれいにしてそこで遊ぶのを見ていた。そして山の端のクマがおばあさんとおまえを食べようとしているのを見たので、私は人間の姿となって山の端のクマを殺したのだ。これから神に祈るときにはケトゥペトノに祈りを捧げなさい。」

 私は目が覚めた。おばあさんも夢を見ており、「神のおかげで助かったので、これから川下へ下り、おじたちや兄たちがいるところで暮らしなさい」と言った。

 私は川下へ下り、夕方になると村に出た。村の真中の大きな家に行き、咳払いすると若い女が出てきた。私を見ると中に入り、「外に見知らぬ娘が来ています」と言った。すると中から「招き入れなさい」という声がした。

 私は家の中に入り左座に座ると、おじいさんとおばあさんがいて「どこから来たのか」と尋ねた。これまでの事情を話すと、おじいさんとおばあさんは私の手を撫でて、「他人ではないのだ。神のおかげて元気でいたのか」と言った。私はその家に泊まった。

 おじいさんとおばさんは「川上に行っておばあさんのところへ行って、おばあさんが亡くなっていたらよい墓を作りなさい。後をきれいに片付けて良い物は持ち出し、家は燃やしなさい」と言った。

 私がもとの家に行くとおばあさんは亡くなっていた。よい墓を作り、あたりを片付けて家を燃やした。それから背負えるものを背負って川下の村に帰った。

 おじいさんは「息子と結婚して別の家を建てるとよい」と言った。私は新しい家を建てて年長の息子と何の不自由もなく暮らした。兄弟や姉妹もそれぞれ結婚した。子供にこれまでのことを話し、「ケトゥペカムイが守護してくれたおかげで助かったのだ。何にでも立派なおこないをしておくととよいものだぞ」と言い聞かせた。そして年老いたので話すのだ、とどこかの女性が物語った。



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