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117 流れてきた男の子

あらすじ:志賀雪湖

 母さんとふたりでわたしは暮らしていました。いつも母さんといっしょにして、なんでも手伝っていました。母さんは「水くみは朝にやりなさい。水をくむまえに顔を洗い、川上をみて川下をみるのですよ」と言っていました。そうしてわたしも一人前になりました。

あるとき、わたしは水をくみに川にいくと、川上から鍋が流れてきました。鍋をつかんで岸にあげると中に小さな男の子が寝かされていました。わたしは母さんに知らせ、母さんが男の子をだき、わたしは鍋をしょって、村じゅうたずねてあるきました。だれも赤ん坊のことを知りませんでした。

ところが、川上の村おさの息子の子どもがいなくなったといううわさを聞いたあるひのこと、その村おさの家の人たちがやってきてわたしがみつけた男の子が川上の村おさの息子の子どもだとわかりました。

村おさたちが、子どもを連れて帰ると、嫁さんの顔色が変わりました。嫁さんは、夫が子どもばかりかわいがっているのが憎らしくて子どもを流したのでした。嫁さんは、村はずれに追いだされました。

川上の村おさは、母さんにこう言いました。「あなたの娘さんのおかげで息子の子どもは助かったのです。娘さんを息子の嫁にくれませんか」と。

母さんはしばらく考えて「ひとり娘なのに嫁にやってしまったらさみしくなります」と答えました。すると村おさは「娘さんといっしょにめんどうをみます」といってくれました。

そして両方の親のところをいききしながら、わたしたち夫婦はくらしていて、わたしにも男の子や女の子ができ、両親もりっぱにみとりました。

そして子どもたちには、こんなわるい心をもつんじゃないよ。助け合ってくらすのだよと教えていて、わたしは年をとって死にました。

と、川下の女が語りました。



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