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108.靴の化け物

あらすじ:高橋靖以

 私は兄と二人で暮らしていた。兄は働き者で私もその仕事を手伝っていた。兄は私にさまざまな仕事の仕方を教えてくれた。兄は山へ行き鹿でも熊でも捕り、何不自由なく暮らしていた。

 ある日兄が山に行っているときに、どこからきたものであるか、みすぼらしい女がやって来た。女は家の中に入り横座に座った。私はおそろしく思った。私が何か言っても女は何も言わずにいた。そこに兄が帰ってきた。兄もその女に驚いた。女は出て行きもせず、私の家にいた。

 ある日、女は「蚤をとりましょう」と言った。私の頭をつかんで蚤をとっているようだったが、私はそのうち何もわからなくなってしまった。

 気が付くとその女は私の姿となっていた。そして私はその女の姿となっていた。

 兄が山から帰ってくると、その女は口元に笑みを浮かべ「あの女を殺して捨ててしまえ」と兄に言った。私は恐ろしく思い泣きながら家の隅にいた。

 兄は「針を出しなさい」と言った。その女が「何をするの」と言うと、兄は「あいつを針で刺して人間ならば血が出る、血が出ないなら人間ではないだろう」と言った。兄はその女の手をとり、針を刺したが血はでなかった。それから私の手をとり、針を刺すと血が出た。兄は怒り「どこから来た悪神か、私の妹をみにくい姿にしたな」と言い、その女を殺した。

 外で背中を打ち、お祓いをすると私はもとの姿に戻った。殺された女の亡骸を見ると、サケの皮の履物だった。私はひどく驚き、兄も怒った。その晩は眠り、翌朝兄は神々に祈った。

 それからどこからか立派な長者がやって来て私は結婚した。兄も立派な婦人と結婚した。私たちは別の家を建てて暮らした。兄も大きな家を建て、そこで暮らした。お互いに親しく往き来し、何不自由なく暮らした。若いときにサケの皮の履物の悪神のたくらみで殺されそうになったことを話し、「見知らぬ女には注意するのだぞ」と子供たちに言い聞かせた。そして私は年老いたのだ、とある女性が物語った。



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