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77.兄と交易に行った妹が兄嫁に嫉妬された話

あらすじ:遠藤志保

 わたしには、兄と姉がいて、可愛がられて育てられていました。わたしも大きくなってきたので、縫い物をします。最初は下手だったのが、今では上手になってきました。

 あるとき、兄は

「交易をしに行って来るよ。妹にも和人の村を見せたいから、連れて行くつもりだよ」

と言いました。すると、兄嫁がまるで怒っているみたいな顔でわたしを見ました。

 そして、交易の準備をして、兄とわたしは出発しました。

 船に乗ったまま何日だかして、和人の村に着きました。わたしたちが船を下りると、荷おろしをしています。兄は、手早く仮小屋を作りますと、殿さまのところへ行って、毛皮といろいろなものを交換します。そしてお酒をごちそうになっていました。

 その間、わたしのところに、なんと兄嫁がやってきました。兄嫁は、

「おまえだけが和人の村に連れて来られて大切にされ、わたしはひどく腹立たしい。おまえなんて、切ってやる」

と言いながら、女用の刀でわたしを突いてきます。わたしは、

「痛い、痛い」

と泣きわめいていましたが、やがて気を失ってしまいました。

 わたしは、長いこと気を失っていましたが、気がつくと、わたしは手と足をだらんとぶらさげているのでした。

 そして見ていると、姉が、「妹よ。どうか、戻ってきて」と言いながら赤いお椀をわたしに差しのべます。それを聞いてわたしは、「わたしを思ってくれている姉さんを残して、どこへ行けるだろうか」と思っていました。すると、わたしの死体のところに落ちるように、わたしは背中を押された気がしました。そして、わたしは目が覚めたのです。姉は、泣きながらわたしを介抱して、

「ああ、妹よ。生きていてよかった」

と言いました。

 わたしは、事情を説明して、

「どうしてわたしの村に帰ってきたのかしら?」

と尋ねました。すると、兄が、わたしを背負い、神に祈りながら来たそうです。そして、悪い兄嫁は、和人の村でひどい死に方をして捨ててきたということです。わたしの姉は、泣きながら、そんなことをわたしに話してくれました。

 そして、薬を作ってはわたしに飲ませ、介抱してくれます。そうすると、わたしの傷もかさぶたになり、何日だか、何ヶ月だかたつと、わたしの体も良くなってきました。それからは姉は、わたしを大切にするようになり、兄も山にも行かないでわたしのそばにいてくれました。

そして、もう治りそうになってくると、兄が、

「おまえにはいいなずけの人がいるのだが、その人がいつか来るだろうから、ちゃんと体を治すんだよ」

と言います。わたしは、すんでのところで殺されかけましたが、神がついていてくださったおかげで生きていられることを、ありがたく思っていました。

((ここから女のいいなずけの男の自叙))

ところで、わたしのいいなずけの女性がいるという話は聞いていましたが、ある日、その女性があやうく殺されかけたという話を聞いたので、見舞いに行くことにしました。

((ここから女の自叙に戻る))

 わたしの家に、若い立派な男の人が入ってきました。わたしは、

「あやうく、こんな立派な人と会わないまま、殺されそうになったけれど、神さまのおかげで生きのびたのだわ」

と思いました。そして、目を覚ましますと、姉が泣きながらわたしを介抱しています。兄も、いいなずけの方もいっしょになってみんなでわたしを介抱しているうちに、わたしは生き返りました。そして、例の長者といっしょにくらすようになりました。そして、みんなで仲良くくらしていました。



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