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26.カラスが姉に化けて自分を育てていた、その理由を語る話

あらすじ:安田千夏

 どうして自分が生まれたのかもわからずに、姉が私を育ててふたりきりで暮らしていました。私は今ではもう大きくなったので、山猟にいっては獲物を家に運んで来て、姉は毎日皮張りの仕事をしていました。何をうらやましいと思うことのない暮らしでしたが、ある時また山猟にいって獲物を家まで担いで来て、神窓から家の中を見ると、家の中には姉ではなく一羽のカラスがいて、炉の火を吹いて熾しながらこのような唄を唄っていました。「カラスの子と取り替えたうちの子は、狩りが上手過ぎて私は手が痛い」。それを見て驚き、山のほうに引き返して、ずっと山にいたようなふりをして家に帰って来ると、いつも通り姉が手仕事をしているのでした。

 疑いながら暮らしていると、姉はついにこんなことを白状しました。「私は実はハシブトガラスの神なのです。人の子がうらやましくなって、自分の子と人間の子を取り替えて、さらって連れて来て育てていたのがあなただったというわけです。でもあなたはとても狩りが上手で、私は皮張りの仕事に明け暮れ、手が痛くて唄を唄っていたところをあなたは見てしまったのです。私はこれからはカラスの姿に戻って暮らすつもりですから、あなたは何処からかやって来る女性と結婚して暮らしてください。酒が手に入ったら私に祈って捧げ、クマやシカを捕ったならば私に分配するといって祈ってください。そうすれば、私はどこにいてもあなたからの供物を受け取ることができるのです」。そういって、姉だと思っていた人は大きなハシブトガラスになって泣きながら飛んでいってしまいました。

 ひどく驚きあきれて暮らしていましたが、そのうち本当に何処からか立派な女性がやって来たので、結婚して一緒に暮らしました。



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