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12.姉と一緒に山へいって赤ん坊を拾い、連れて帰って育てる話

あらすじ:安田千夏

 ある女の子が、父も母もなく、姉とふたりきりで暮らしていました。薪採りや畑仕事、何でも姉の仕事を手伝って暮らしていました。暖かい季節になり、畑仕事にいって家に帰る途中、道ばたで赤ん坊がたったひとりで泣いているところに通りかかりました。姉はかわいそうだといってその赤ん坊を拾い、家に連れて帰ってふたりで育てることにしました。

 昼間ふたりで仕事に行くときには、その赤ん坊は炉端に寝かせておきました。昼になると家に戻り、食事をさせてからまた外に出かけていきました。ある時、いつものように昼になって家に帰ると、炉鉤からかけておいた鍋の中の食べ物が、全て空っぽになっていました。「一体何者がこんなことをするのだろう」といって姉は怒りながらもう一度炊事をして赤ん坊に食べさせました。それからは毎日鍋が空になっていることがあって、姉はその度に怒りながら食事を作り直していました。

 ある時、姉は「そっと隠れて様子を窺ってみよう」といい、昼になると畑仕事からこっそり帰って来て家の中を窺うと、鍋をひっかくような音がしました。中窓から家の中の様子を覗いて見ると、何ということでしょう。大きなクマが家の中で、鍋の中の食物をむさぼって食べているのでした。姉は驚いて鼻を押さえ、声を出さないようにして急いでまた畑仕事に戻り、何もなかったような様子を装いながら家に帰って来ました。そしてまた空になった鍋を見て怒りながら炊事をし、赤ん坊だか化け物だかわからないものに食事をさせました。

 翌朝、姉はたくさん水を汲んで来て、酒を醸すための大きな鍋を火にかけて湯を沸かしました。そして赤ん坊を私に手渡し、あやすようにいいました。そして姉はまた自分に赤ん坊を渡すようにいうので手渡したところ、なんと赤ん坊を頭から煮立った湯の中に突っ込んでしまいました。すると赤ん坊だと思っていたものは昨日見た大きなクマに姿を変え、大きな声をあげて足をバタバタさせました。姉は「妹よ、木の棒で早くクマをめった打ちにしなさい」というので、私は火のついた薪でそのクマをさんざんに打ちのめして殺してしまいました。

 姉は体を休めながら「悪いクマの神が私たちのところにやって来ていたというのに、神様たちは目が見えないのだろうか。危なく食べられてしまうところだったけれど、私たちの憑き神が強かったために見破ることができたのだ」といって、ふたりでクマの体をひきずっていって外に出しました。その夜眠ると、姉は夢を見ました。例のクマが姉の前に来て「私は山の下端の老クマである。おまえたちのところにいって、おまえたちが大きくなったら骨ごと食べてやろうと思っていたのだが、神々がおまえたちに手を貸したために正体を見破られてしまったのだ」といいました。姉は起きてから怒っていましたが、神々のおかげで助かったことに感謝しました。

 何日かすると何処からか男の人が通りかかり、わけを話すと外に置いてあったクマをどこかにひきずっていって、腐った木のところで肉を細かく刻んで、悪いクマを送るときの作法で儀式をしてくれたようでした。その男の人と姉は結婚し、私もその後でやって来た立派な男性と結婚しました。家を姉の家の外に新しく建て、お互いに子どももたくさんできて、何不自由のない暮らしをしています。子どもたちには山の中に捨て子がいても、恐ろしいものだから拾って来てはいけないよと言い聞かせ、年老いて死んでいきますとある女性が物語りました。



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