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130. 人間の村の飢饉を救った狩り場の神の話

話 者:川上まつ子
資料番号:34730
収録日:1987年10月11日
「私」:狩り場の神
登場人物:オキクミ、狩り場の神、魚を司る神、鹿を司る神
翻 訳:小林美紀
サンプル音声

<あらすじ>

 妹もなく、ござを編んでくれる人がいないので、草をバラバラひいてその上に座って一人で私は暮らしていました。いつものように暮らしていると、ある日、窓のところで影がチラチラしたので、見てみると、大きな杯にお酒がなみなみと入っていて、その上で削りかけのついた捧酒箆が動いています。「オキクミカムイの伝言を伝えますよ。」捧酒箆はそう言うと、「人間の村が飢饉になって食べ物がなくなりました。私の妻が作ったものを運んで助けてあげていたんだけれど、今はそれも底をつきました。山の偉いカムイ、魚やシカを人間の村に与えてください。人間達が生き延びたらイナウ(木の御幣)でお返しをするように私が言いますから。」とオキクルミの伝言を話しました。そして、その後、私がその大きな杯を手にとってシントコ(漆塗りの酒樽)にお酒を入れると、どんどんお酒が湧いてきて、たくさんのシントコがお酒でいっぱいになりました。

 それから、私はカムイ(神)をみんな招待して盛大な宴会を開きました。そのときに魚のカムイに先ほどの話をすると、魚のカムイは、「人間のところで魚が獲られると、イサパキニもなく粗末な扱いを受け、魚は泣きながら帰ってくる。」といいました。今度、シカのカムイに同じ話をすると、シカのカムイは、「人間のところでシカが獲られると、イナウもなく粗末な扱いを受け、シカは泣きながら帰ってくる。私はそのことで腹を立てているから、人間を助けるつもりはないよ。」といいました。

 けれども、私はシカのカムイの倉へ行って、シカの骨を手にし、魚のカムイの倉へ行って、魚の骨を手にしました。木原の上にシカの骨を撒くと、そこが雄ジカの群れ、雌ジカの群れでいっぱいになりました。魚の骨を川沿いに撒き、目をやると川には魚がいっぱいになっていました。そうして、人間達は食べ物にありつくことができました。

 オキクミから再び大きな杯が送られてきたので、もう一度私はカムイ全員を招待して宴会を開きました。酒宴のなかで、魚のカムイ、シカのカムイに、人間を助けたおかげで、丁重に祭られて、このような酒宴を開くことができて、偉いカムイとしていられるのだよと話しました。

と偉いカムイが語りました。



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