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87. クモとエゾイタチ

話 者:川上まつ子
資料番号:34650
収録日:1986年8月5日
「私」:クモの女神→エゾイタチの神
翻 訳:安田千夏
サンプル音声

<あらすじ>

 ヨシ原の上に住むクモの女神が私で、色々な神様の男性に言い寄られても「地下の冥府に棲む魚を持って来てくれた人と結婚します」というと、その神様たちは地下の冥府に赴いていって帰って来ないということを繰り返していました。

(話者がエゾイタチに代わって)

 ある日女神の家にいって神座に座ると、女神は私を見て驚いて「どんなに力の強い神様なのでしょう。どうやって突然に神座に現れたのですか。地下の冥府にいって魚を捕って来てください」というので腹を立て、すぐに地下の冥府にいって魚を捕って来てやりました。また神座に突然座り「これが食べたくて色々な神を困らせていたのだろう。早く食べろ」といって魚を投げると、その女は驚いて謝って「私が悪うございました。何故あんな無茶をいったのか自分でもわからないのです。この世のものがあの世の魚を食べると、どうなってしまうかわかりません。これからはこのようなことは致しませんからどうか命ばかりはお助けください」といいました。腹が立ったので、その女神の目に息を吹きかけてやりました。するとその女神が目が痛いといって転げ回って苦しみました。女神の家を焼いてしまうというと、それはどうか勘弁してくれといって泣きました。

 女神を置いて自分の家に帰って来て女神の様子を見ていると、やはり目が痛いといって転げ回っている様子でした。そこで目の痛みを止めてやると、今度は私の素性を毎日探しまわっています。長い間放っておきましたが、かわいそうになって自分の居場所を教えてやりました。すると身の回りのものを持って、女神は私の家にやって来ました。私の家の中はゴミだらけであるようにわざと見せかけて待っていると、家に入ってゴミだらけなのを見てあきれていました。笑いをこらえて知らんふりをしていると、その女神は毎日一生懸命ゴミをかたづけていました。「どんなに立派な神様かと思って来てみたら、この家の有様は何でしょう」とぶつぶつ文句をいって、とうとう疲れて自分の荷物にもたれて居眠りをしている間に、家の中を元通り立派な様子にしておきました。目が覚めた女神は驚いてかしこまっているので、私が「おまえは何人もの神様を苦しめたので、罰を与えるためにここに来させたのだ。心を入れ換えるならそれでよし、そうでないならまた罰してやるぞ」というと泣いて謝ったので、許してやることにしました。そしてその女神と結婚し、お互いに子供がたくさんできる系統なものだから、たくさんの子宝に恵まれて幸せに暮らしてお互い年を取りました。



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