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63. 村を襲われ生き残った孤児の娘の話

話 者:織田ステノ
資料番号:34186
収録日:
「私」:育てのおば(幼少時)→居候先の娘→オタスッの村長の末の男の子→?
翻 訳:安田千夏
サンプル音声

<あらすじ>

<アイヌ語部分の前段は日本語訳のほうで以下のように語られている>

 ある村で父と母と一緒に暮らしていたひとり娘が私でした。私の村の村人たちはなぜか私の家に対していじわるで、父が猟をして獲物を獲って来てもなんくせをつけては持っていってしまいます。私の家ではいつも食べるものもなく、お腹が空いてこのままでは死んでしまうと思ったので、家を出て家族で旅に出ることにしました。

 旅に出た日の夜は木の根元で眠りました。その翌日また歩いていくと、立派な家の外を通りかかりました。家の外の干し竿にはクマやシカの肉、魚がたくさんぶらさがっています。家の中から見たこともないような立派な奥さんが出て来て、家に入るように勧められました。そこで家に入ると、おいしいものをたくさん食べさせてくれました。夕方その家の旦那さんが帰って来て、今までのいきさつを聞くと、この家で一緒に暮らすようにといわれました。喜んでそうすることにし、その家の夫婦は子供がないけれど子供好きで、私を可愛がってくれました。

 そのうちに父と母は病気で死んでしまい、その後その家の奥さんは女の子を授かりました。私はその女の子のお守りをしながら暮らしていて、奥さんは私に「外にいったら隠れ場所をよく探しておくように」といいました。何故そのようなことをいうのかと不思議に思いましたが、山の中に隠れ場所を見つけ、隠れるとしたらここだと思っていました。ある日旦那さんも奥さんも家にいる時、またお守りに女の子を背負ってその隠れ場所にいくと、村のほうから旦那さんや奥さん、大勢の人間の叫び声が聞こえて来ました。驚いてそこに隠れていて、やがて静かになったので村に降りていくと、村はすっかり悪者に滅ぼされて焼かれ、旦那さんや奥さんも殺されてしまっていました。それからは村の近くに作った粗末な急ごしらえの家で、女の子に食べさせることにも苦労しながら育てていました。

 (話者が女の子に代わって)

 私を育ててくれているおばさんは、いつも歌を唄いながら仕事をしていました。少し大きくなると、それは泣いているのだとわかりました。水汲みにおばさんについていくと、家の近くには大きな焼けた家の柱が立っているのが見えました。おばさんは私に「何か音がしたら、家に敷いてある草の中にかくれなさい。決して自分の後は追うのではない」と言い聞かせていました。そしてある日、おばさんは今までのいきさつ、両親が殺されてしまったことを話してくれました。そして今日今しがた、悪者たちがまたやって来て、私を殺す機会をうかがっている声を聞いたというのです。私に立派な着物を着せて、ゴザで私をぐるぐる巻きにして、目のところだけ見えるようにして、穴を掘ってそこに私を入れました。「3日間は踏まれても何をされても声を出さずにじっとしていなさい。そして3日経ったら何とかして川に沿って下って海まで行って、おまえのお父さんが昔交易に行ったときに作った祭壇があるので、そこに入りなさい。そうすればおまえの父、母は神なのだからきっと助けてくれる、生きて仇を討ちなさい」そういっておばさんは外に行き、「助けて」と2回いったきり声がしなくなったので、死んでしまったのだろうと思いました。悪者たちはしばらく私を探していましたが、やがてあきらめて小屋を焼いていってしまいました。

 そして3日経ったら、おばさんのいう通りに海まで何とか下りていって、父の作った祭壇の中に入り、「おばさん、助けて」といって泣いていました。

 (話者は代わって)

 オタスッの村長の父と母、姉と兄と一緒に暮らす末っ子の男の子が私でした。兄の後をついて山猟を教えてもらい、可愛がられて暮らしていました。

 ある時村人たちが集まって来て「この頃、夜トイレに起きると、この家の上に青い虹、白い虹、赤い虹が行き交う様子が見える。一体なんだろうか」と相談するのです。父は村の上手に家を建てて、そこに私を住まわせることにするといいました。そしてその日のうちに立派な家ができました。どうして自分が別に暮らさなければならないのだろうと思いながら、そこで暮らして1年経った頃、山猟にいく道具を持ったら、突然私は仰向けに倒れてしまいました。そしてそれから急に自分の船着き場に行きたくなって走っていくと、舟の縄をほどいて飛び乗り、仰向けに乗っていると、その舟はすべるように海の上を走っていきました。舟が陸についたので頭をあげると、川尻にツルが巻き付いて小屋のようになった祭壇がありました。その中から虫のような声が聞こえるので何だろうと思って見ると(日本語途中で終わり)

 <その後、女の子はオタスッの男性に助けられ、親の敵討ちを果たすというストーリーらしく、アイヌ語で語られているのはその最後のくだりであるらしい。最後の部分の自叙者はotasam ta kamuyrametok>



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