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物語や歌

C227. エゾマツの女神と魔鳥

あらすじ

 

 私はエゾマツの神の妻です。石狩川の中流に住む村長と河口部に住む村長は仲が良かったのですが、もうお互いに年を取ってお互いに行き来をしなくなっていました。ある時河口部の村長の息子が山で行方不明になったという噂を聞きました。
 (話者が中流の村長の息子に代わって)父が「おまえも忙しいだろうが、探しに行ってあげなさい」と言うので山に行ってみましたが、何の手がかりもありませんでした。翌日、石狩川をさかのぼって行きたくて仕方がなくなり、一目散に走って行きました。途中立ち止まっても、また前方から引っ張られるようにして川の源流部まで行きました。前方を見ると、木のない山の上に大きなエゾマツが立っているのが見えました。何とかその山に登って行き、エゾマツのまわりを歩いてみると、エゾマツの枝がたれ下がって曲がっていて、その下から薄い煙があがっているのが見えました。木を透かして見ると、中に垢で真っ黒くなった男がたばこをふかしているのが見えました。「入っていいですか」と言うと「どうぞ、私についての話をしましょう」と言うので入って挨拶を交わしました。でも男性は、長い間しゃべらずにいたせいか言葉もしゃべることができません。そこで私はたばこと食糧を小さく焚かれた火にくべながら、エゾマツの神に理由を教えてくれるよう頼みました。それから男に肉のかたまりを渡して一緒に食事をしました。

 夜、眠りにつくと黒い装束を身につけた女神が木を伝って降りて来てこのように言いました。「私はエゾマツの神です。ある時、木が倒れるくらいに揺すられたので見ると、ケソラプの神が木にとまっていたのでした。神の力で見通すと、石狩川の河口部の村長の息子がケソラプにかどわかされてここに連れて来られたのでした。飢え死にしたら魂を取ってやろうと思っているようなので、私は男性に食べさせて、枝を曲げて家のようにして男性を守っていたのです。そしてあなたをここに呼び寄せたのですが、たばこなどをまいてくれたのでとても感謝しています。またケソラプが来たら弓矢で射て退治してください。そしてこの男性を家族の元に送ってあげてください」。
 そして夜中になると、木が揺れてケソラプが来たことがわかりました。外に出てエゾマツを見上げると、木のてっぺんにとまる真っ黒いものが見えました。そこで特別な矢を出して射たところ、命中してそのまま静かになりました。
 夜が明けると、男性を起こしました。すると男性は「私は石狩川の河口部に父がいる者です。ある時山へ狩りに行くと、白い霧におおわれてどこを歩いているのかわからなくなりました。そしてこのエゾマツにたどりつき、エゾマツの神に祈ってから眠りにつきました。エゾマツの神は私に食事をさせてくれたので生きられましたが、何かの悪神が私の言葉の魂をつかんでいるらしく、しゃべることができませんでした。何もわからくなっていたのですが、今やっとしゃべることができるようになったのです」と言いました。そして男性の手を取って山を下り、石狩の上流部の旦那さんの家で休んでから、中流の私の家には寄らずに急いで河口部の男性の家まで行きました。家族と再会すると喜んで抱き合い、私は感謝されました。男性は身なりをきれいにすると、とても美しい男性なので驚きました。

 一晩泊まってから家に帰り、父に話すと「自慢の息子だ」と言ってとても喜びました。その夜眠ると、黒い装束をまとった女性が出て来て、怒ってこう言いました。「私はケソラプ神です。神の国には私にふさわしい者がおらず、人間の国を見渡すとこの若者が目に止まり、どうしても自分のものにしたくなったので連れて来たのですが、おまえに射られてしまいました。特別の矢なので抜けずに苦しみましたが、やっと抜けました。あの若者のことをあきらめきれないので、これから人生の途中で魂を奪い、結婚するつもりです」。夢のことを父に話すと、石狩川の河口部の村に言って村長にその話をしました。そして雄弁な者たちが神に祈ってそのことを告げると、その夜また夢にあの女性が出て来ました。「神々に叱られ、なかでも父は私を地下の冥府に蹴り落としてやると言って怒りました。仕方なくあの男のことはあきらめて、神の国で神同士結婚します」という夢を見たところ、父たちも同じ夢を見たようで、エゾマツの神に木幣を捧げて祈りました。
 それからは何事もなく暮らし、それぞれ結婚して子供ができ、父たちを見送ってからもあの男性とはお互いに行き来しながら、酒が手に入ると酌み交わして暮らしました。死ぬ前には子供たちに「エゾマツの神に祈ることを忘れないように、そうすれば守られるのだから」と言い残して死んで行きますと、ひとりの男が物語りました。


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