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物語や歌

C218. ヤナギとミズナラの会話

あらすじ

 

 石狩で、父と母と一緒に暮らしていました。父はもう年を取って山へ狩りへ行くことはできないので、近くの山でウサギやキツネをとって来て、その肉と野草を混ぜて食べていました。私が大きくなってからは父母がなるべく働かないでいいように、山菜採りやまき運びをしていました。

 ある時父たちがこのように言いました。「石狩川の下流に立派な旦那さんがいて、狩りも上手だったのだけれど、いつのまにかキツネもウサギもとれなくなって困っているというのだ」。それを聞いても私は何も思わなかったけれど、ある日山でまきをとっていると、私のそばにヤナギとミズナラが立っていました。その林の上で枝がぶつかる音がこのように人の声として聞こえました。「石狩川の下流の息子が病気になってもう死にそうになっている。人々が集まってまじないをしても治らず、もう死ぬのを待つばかりだという噂をどう思う?」ヤナギがミズナラに尋ねると「石狩川の下流の旦那さんが急に猟運に見放されて何もとれなくなり、病気になってもう死ぬばかりだということの原因はこうだ。その旦那さんの奥さんが、旦那さんが酒宴ばかりするのでそれに疲れ、旦那さんがクマをとらなくなればいいと思って旦那さんのお椀を女便所に捨ててしまったためにそうなっているのだ」とミズナラが言いました。ヤナギが「どうしたらいい」と聞くとミズナラは「木の下にいる娘ほど心の美しい娘はいない。この娘が神に話せば旦那さんは生きることができるだろう。娘よ、早く行きなさい」と言いました。

 それを聞いて、私は急いで父たちにも何も言わずに走って川を下って行きました。下流の村につくと、村の真ん中にある村長の家に行きました。するとその家の嫁が「みずぼらしい娘が外に来ている」と家族に告げました。すると家の中から「どんな姿のものでも、入りたくて来たのだろうからお入れしなさい」という声がしました。そこで家に入り、誘われるままに客座に座りました。右座には噂の男性が寝かせられていて、人々が神に祈ったりしていました。私は火の神様に「このようにヤナギとミズナラの会話を聞いて来たのです。私を守ってください」と祈ると、私の口をついて急に歌が出て来ました。歌の歌詞は「この家の旦那さんのお椀を探してごらん」というものでした。そしてこの家の嫁の悪事を家族に教える内容の歌を唄いました。そして実際に椀を探したところ見つからず、女便所の底から椀が出て来たのでした。その椀をきれいに洗い、木幣をつけた椀にうすいかゆを入れて病人に飲ませたところ、何も口にしなかったものがそれを飲んで目を開けました。
 その家にいた女性たちは、私のことを「みずぼらしい身なりの女が遠慮も知らずに」と言っているのを聞いたので、すぐに外に出て家に帰りました。

 父や母に何があったかを言うこともせず、元通りに暮らしていました。翌日、下流の村の旦那さんたちが大きな荷物を持って訪ねて来ました。父母が驚いて「一体どうしたのですか、このような貧乏人の家に」と聞くと、今までのいきさつを説明してくれました。私も「父さんに叱られると思ったので言わなかったのです」と言いました。父はお礼の大きな荷物を受け取らず「貧乏人なので、娘のおかげで物持ちになったと言われるのも嫌なのです」と言うので、せっかくの荷物は背負って帰って行きました。でも父は私のしたことを喜んでくれました。またしばらくするとあの村長が、病気だった息子を連れて来ました。そして「娘さんのおかげなので、結婚してご両親の面倒を見させてください」と言いました。でも父は「貧乏人が長者のところに嫁いだらかわいそうだ」とか「ひとり娘なので近くに嫁にやりたい」と言って断りましたが「どうしても嫁に欲しい、ご両親は石狩川の下流に移住してもらって面倒を見ますから」とまで言うのでとうとう承知をしました。
 親と一緒に石狩川の下流の村に移住し、私は村長の家に嫁ぎ、ヤナギやミズナラに酒や木幣を捧げて祈るようにしました。私は巫術をする娘として有名になり、子供もできて幸せに暮らしました。
 

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