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物語や歌

C207. カツラの舟とハリギリの舟のけんか

あらすじ

 

 私は父母と一緒に暮らす男性でした。父に狩りや漁を教えられて育ち、今はもう父は足が悪くなり狩りに行けなくなったので、私がひとりで狩りに行き、何不自由ない暮らしをしていました。
 カツラをとハリギリでそれぞれ丸木舟を作りましたが、ハリギリの舟は重くてあまり使わず、カツラの舟ばかりを使っていました。ある夜寝ようとすると、どこからか舟の音が聞こえて来ました。静かに外に出て水汲み場に下りてみたところ、丸木舟が2艘、人間のように立ち上がって跳ねあがるようにして殴り合っているのでした。

 家に帰って眠ると夢を見ました。黒い着物を着た神のような女性がいろりの横座に座っていて、このように言いました。「旦那さん、よく聞いてください。私はカツラの舟です。あなたはどうしてハリギリの舟を作ったのですか。カツラは女神でハリギリは男神、あなたが私ばかりを使うのでハリギリが怒ったのです。私にけんかを挑んで来たのですが、戦っても相手は男神。私は負けてしまうのです。ハリギリの舟をこのままにしておいてはあなたの村に悪いことが起きます。ハリギリの舟はこわして粉々にしたうえ燃やしてください。でもその際、木くずを残さずに燃やさなければ無事では済みませんよ」。
 驚いて起き、父に昨夜見たことを話し、カツラの女神が見せた夢についても話しました。父は驚いて「そのような恐ろしいハリギリの舟は早く燃やしてしまいなさい」と言うので水汲み場に行き、ハリギリの舟を引き裂いて壊し、小さい木片までも全て燃やしてしまいました。すると父はこう言いました。「おまえは山に行き、舟の材料になったハリギリの木の根を掘り起こし、小片も残さず全て燃やしなさい。そしてその煙がどこに向かうのかをよく見ておきなさい」。そこで翌日父に言われた通りにすると、燃やした煙が海の方に流れて行くのを見ました。それを帰って父に話すと「これからは決して海漁に行くのではない」と言いました。

 それからもう何年も経ったので海漁に行きたくなり、父には言わずに村の若い男を連れて沖に出ました。すると沖で、何か舟にとげが生えたような、目や口のまわりに赤い布をつけたような化け物が浮かび上がって私を追いかけて来ました。私は驚いてタコ(?)の神に助けを求めると、青い稲光が射したのでその稲妻の間に舟を通して逃げると、そのうちまた化け物が私の後ろに浮かび上がって来ました。そこで今度は波の神様に祈ると、化け物が死んだようでした。私は村に帰りましたが、老人たちが悪いことがあったときの太刀を抜き祈りながら踊る様子を見ましたが、それきりどうなったのかわからなくなりました。ひと月かふた月、どれくらい気を失っていたのかはわかりませんが、気がつくと私は髪の毛はもちろん体中の毛が抜けてしまっていました。体中にできものができ、次々に腐って行くようでした。私は看病されて何年かそうしていましたが、父はその間に死んでしまいました。私は動くことができるようになっても、人の姿ではなく化け物のようで、それはまるで毛のない赤カボチャのようでした。
 だからこれからの人たちはハリギリで舟を作らないほうがいいと、ひとりの男が物語りました。

 

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