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物語や歌

C206. 白い犬の水くみ

あらすじ

 

 私は人間の兄さんと暮らしている一匹の犬でした。兄さんは私を可愛がってくれましたが、申し訳ない気持ちでいました。人間になれたら家の仕事ができて兄さんも助かるのにと思いながら毎日暮らしていました。
 ある日手桶を持って川へ行き、水をくもうとするとつんのめって川に落ちてしまいました。流されてしまいましたが、手桶はしっかりとくわえたままでした。やがて河原に上陸し、手桶を見ると水が入っていたので嬉しく思いましたが、ひどく疲れていたので荒い息をして、そのまま眠ってしまいました。すると私の上で神様の来る音がゴーゴーと鳴り響き、目を覚ますと、私のそばには白い犬の毛皮があり、私は美しい人間の娘になっていました。きっと人間になりたがっていた私をかわいそうに思って、何かの神様が願いをかなえてくれてのでしょう。私はさっそく毛皮を持って家に帰り、手桶で水を汲み、火をたいてみました。そこへお兄さんが帰って来て、かまどの煙があがっているのを見て不審に思い、窓から家の中の様子を見てから入って来ました。私にわけを尋ねるので、正直に今までのことを話しました。すると兄さんは喜んで、今までのことを話してくれました。

「おまえがまだ小さい頃に私が山へ狩りに行くと、目の前に一匹のオオカミが現れて、おまえを私の前に置いて森へ帰ってしまった。神様からの授かり物だと思ったので、おまえを大事に育て、椀ではなく宝物の鉢でおまえに食事をさせていたのだ」と言って、それからは人間として兄さんと一緒に暮らしました。家の仕事をしながら暮らし、いつしか一人前の娘に成長しました。

ある時夢を見て、家の神窓から神のような立派な白い着物を着た女性が顔を出し、私にこのように言いました。「娘よ、よく聞きなさい。オオカミ神と言っても、ひとりふたりではないのです。おまえの父はその中でも最も位の高い神であり、おまえが兄さんと呼んでいる男の両親は、オオカミ神を敬って祈りを欠かさなかったので、父神はとても喜んでいました。しかしある時伝染病がはやり、男の両親は伸でしまい、息子がひとりだけ残されてしまったのです。そこで父神は、ひとり娘のおまえを男の元に遣わし、クマやシカをとってあげたらいいと思ったわけですが、おまえがあまりにも人間になりたいと思っているのを不憫に思い、私がおまえを人間の姿に変えてあげたのです。これからはこの若者と夫婦になって暮らしなさい。子供が2,3人できたら、女の子を連れて帰ってらっしゃい。おまえがいなくなった後には後妻が来るでしょう。そしてまた子宝に恵まれたなら、おまえの旦那さんを神の国に呼び寄せなさい。神の国に帰るまでは旦那さんに尽くすのですよ」。
 朝目を覚ますと、兄さんも同じ夢を見たと言い「神の娘さんなのでおそれ多いことですが、神の意向なので一緒になりましょう」と言いました。そして兄さんと夫婦になり、私が仕事をしようとしても兄さんは何もさせずに私を大事にし、私は炊事くらいしかすることがありませんでした。やがて一番最初に男の子が生まれ、次に女の子がふたり、次々に生まれました。旦那さんには「私が少し病気をしても、それは神の国にいる父神が帰って来いと言っているのです。私が死んでも旦那さんはすぐに新しい奥さんをもらい、その人との間の子供たちも私との子供たちとも仲良く暮らしてください。そしてオオカミの神に祈ることを忘れないでくださいね。私が死んでも、人間の先祖のところに行くのではありません。オオカミ神のところに行くのですから、供物の送り場所は神の国ですよ」そう言って、私は死んで行きました。

(話者が夫に代わって)良い妻を失ってしまいましたが、神が言うことですからどうしようもないと思っていました。そのうちに美しい女性がやって来て一緒に暮らし、子供が2,3人できました。子供たちも大きくなった頃、私も病気をして神の国に呼ばれたようでした。子供たちには「人間の先祖ではなく、オオカミの神に祈るのだぞ」と言い置いて死んで行きました。
 その後子供たちは言われた通りにオオカミの神に祈りながら暮らし、みんな年を取って死んで行きました。

 

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