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物語や歌

C146. スズメの恩返し

あらすじ

 

 私は天の国で姉に育てられているスズメでした。仲間のスズメたちが人間の国に降りて行き、袋いっぱいに食べ物を入れて帰って来るのを見て、いつもうらやましいと思っていました。でも連れて行ってくれと姉に頼んでも連れて行ってはくれませんでした。
 ある時姉が山へ行っている間に袋を持ち、仲間を追いかけて人間の国へ降りて行きました。すると人間たちが酒宴の準備でもしているのか、大勢で穀物の杵搗きをしていました。私がそこへ行って穀物を拾い集め始めると、人間たちは私に悪口を言いました。すると家からきれいな若い女性が出て来て、「鳥たちがどんなに食べるといっても、どれほどの量だというのです。出し惜しみをするのではありません。鳥たちが食べることで、穀物も神になれるのです」と言って、箕いっぱいに穀物を入れて来て庭の隅にまき「小鳥たち、たくさん食べなさい」と言ってくれました。そこで仲間たちと袋いっぱいに穀物を入れて天に帰って来ました。帰って来ると姉が心配して待っていて「どこへ行っていたんだい」と言いました。そこで「人間の国へ行き、たくさん食べ物を持って帰って来たのです」と言うと姉は喜んで「これからは気をつけて行きなさい」と言いました。

 それからすぐに、人間の国から危急の叫び声が聞こえて来ました。そちらを見ると、何とあの優しくしてくれた娘さんが死んでしまっていたのです。まわりでは何とか生き返らせようとする人たちが神に知らせるために祈ったり踏舞をしたりしていました。「あんなに優しい娘さんだったのに。ここで私は恩返しをしなければ」。そう思ったのであたりを見回すと、大地の果てのヨシ原で悪神が娘の魂をくわえているのが見えました。そこで私はそこへ飛んで行き、悪神の家の窓のひさしにとまり、唄いながら踊りました。悪神が笑ったなら魂を取り返そうと思ったのですが、駄目でした。そこで家の中に入り、悪神の頭や肩や手にとまりまがら踊りました。するととうとう悪神は大口を開けて笑ったので、娘の魂が転がり落ちました。私はそれをすばやくつかみ、外へ飛び出しました。そして娘の家に飛んで来て神窓から家に入り、右座で泣きながら祈っている娘のおじいさんの手の中にとまりました。すると人々が私を非難してほうきを振り回し、追い払おうとしました。おじいさんは「小鳥が助けに来てくれたのかも知れないから、そのようにするのではない」と、人々をいさめてくれました。そこでおじいさんの手の中に魂の玉を落とすと、驚きの声をあげてすぐにそれを娘の体にこすりつけました。私は輪を描いてその上を飛んで見ていましたが、娘の顔色に生気が戻り、やがて息をふきかえしたのを見てもう大丈夫と思い、天の国に帰って来ました。

 2,3日すると、私の家に酒や木幣などの供物がたくさん届いたので、姉は驚きつつも喜びました。「私たちは小さいスズメの神なので、供物をただうらやましく思うだけであったのに、突然どうしたのだろう」と言うので、わけを話しました。そして色々な神々を招待し、酒宴を開きました。
 それから人間のおじいさんには「今回のように悪神に狙われるかも知れないので、娘さんは早く結婚したほうがいい」という夢を見せました。すると人間の国に姉と連れ立って行くと、あの娘さんは私たちとわかったようでした。もう結婚したようで、赤ちゃんをおんぶしていました。そして笑って精白した穀物をいつも私たちのためにまいてくれるのでした。それからも穀物や木幣、人間たちからの供物が届くので、姉は「妹の心が美しかったおかげで、このように供物が届いて、酒宴の座をかたづける暇もないくらいだ」と言って喜びました。
 私は小さい鳥の神だけれど、このようなことをしたおかげで人間から祭られるのですと、一羽のスズメが物語りました。

 

 

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