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物語や歌

C072. 白い犬に生まれ変わった娘とオコジョ神

あらすじ


 私は姉に育てられている娘でした。姉とふたりきりで、宝物の並ぶ立派な家で暮らしていました。小さい頃からひとりで遊び、姉が外にいくときは留守番もしていました。少し大きくなると、姉は私に針仕事を教えてくれました。小さな袋などを作って姉に見せると「上手だ」といって褒めてくれました。でも翌朝外に出ると、私の作ったもので姉が鼻を拭き、捨ててあるのを見つけました。泣きながら家に持ち帰って来てしまっておきました。それからまた一生懸命練習をして、私もすっかり針仕事が上達しました。着物を縫って掛け竿に掛けると、姉の縫ったものも上手だけれど、私が縫ったものはそれ以上に上手であることが自分でもわかりました。縫い物以外にも、女の仕事を毎日姉と一緒にしながら暮らしていました。
 私が一人前の娘に成長した頃、姉はこのようにいいました。「私たちの父は、オタスッの村長でした。オタサムの村には、おまえの許嫁(いいなずけ)として育った男性がいるのですよ。父さんや母さんが生きていた頃から、ふたりは結婚する約束をしていたのです。おまえが一人前の女性になったら連れて行ってあげましょう」と言いました。そしてしばらく暮らしていると「今日、おまえを許嫁のところに連れていくから顔を洗って準備をしなさい」。そこで顔を洗い、きれいな着物を着て着飾ると、我ながら美しいと思いました。姉もきれいに着飾りました。姉について外に出て川を下っていくと、前方に海が見えて来ました。突然に姉が私の髪の毛を掴んで暴行を働きました。すると何と私は白い大きな犬になってしまっていたのです。姉も荷物も、どこへ行ってしまったのかわかりません。死のうかと思って山の方へ行き、川をさかのぼって行くと、上流には立派な家が建っていました。私は疲れと空腹で、その家のゴミ捨て場に転がり落ちてしまったので、そこで泣いていました。
 山から男の人が下りて来て、私を抱き上げて家に入れてくれました。男は鉢いっぱいに肉を料理したものを出してくれました。それを食べて一息つき、それからは男の手伝いをして暮らしました。薪もないので、森を駆け回って、乾いた木を選んでひきずって来て、玄関のわきにたくさん積んでおきました。水汲みもしました。そこに男が帰って来ると「おまえは本当に働き者だ、ありがとう」といって喜んでくれました。「ここにいれば何も恐ろしいことはないのだよ」そういって、男と一緒に何ヶ月かそのまま暮らしていました。ある時男性はこのように言いました。「私は実はオコジョの神であって、オタスッの村を守っていて、おまえの父である村長の家も守っていたのだ。おまえが姉に虐待されたのを見て、おまえを犬にして助けたのだよ。明日おまえが起きたら人間に戻してやろう」。翌朝男の言った通りに人間に戻っていたので、それからは人間の女の仕事ができました。
 しばらくすると、男の人は酒を造って儀式の準備をするようにといい出しました。神々を招待するので、ごちそうもたくさん作るようにとのことです。それから忙しく酒を造り、香りが家中に立ちこめる頃に山のように美味しい料理を作って、旦那さんは木幣も作り、すっかり準備が整いました。オタサムの勇者と奥さんになっている姉も招待し、そのうちに招待された神々が家にやって来たので、忙しく応対して料理をふるまっていると、オタサムの勇者と姉も入って来ました。招待した神々が全てそろったところで、あの男の人は神々にこのように切り出しました。「神様たち、よく聞いてください。この娘は、オタスッの姉妹の妹の方なのです。姉が悪い心を持ち、妹を殺して許嫁を横取りしたのです。私はオコジョの神であり、この娘を生かしました。オタサムの旦那さんにはこの娘を渡しません」。
 オタサムの勇者は涙を落として外に出て行き、姉も後を追って行きました。姉の「私が悪うございました。旦那さま、どうか命ばかりはお助けください」という声が響きわたりましたが、誰も助けに行きませんでした。声はだんだん小さくなり、やがて聞こえなくなりました。姉はオタサムの旦那さんから殺されてしまったようでした。
 それからは神の勇者である旦那さんと結婚して幸せに暮らしました。男の子が生まれ、次に女の子が生まれ、夫婦で可愛がって育て、子供たちが家の手伝いをするくらいに大きくなると、旦那さんはある日私に話があるといってこう切り出しました。「妻よ、私はもう神の国に帰らなければならない。おまえは息子たちを連れてオタスッの家に帰って暮らしなさい。子供たちが大きくなったら、あなたを神の国に呼び寄せますよ」。私たちの家を改めて見てみると、家だと思っていたのは、植物のツルが巻き付いて屋根のようになっていた場所なのでした。それから私は子供たちを連れて生まれた家に帰りました。長く無人だった家の中や外を掃除して、そこで子供たちと暮らしました。子どもたちにそれぞれ男の仕事、女の仕事を教え、ふたりとも一人前になり結婚をしました。そうすると夫が言った通りに、天の国から呼ばれて私は死んで行くように思うので今までの話を言い置いて死んで行きますと、オタスッの女性が物語りました。

 

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