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アイヌ有用植物コーナー
(文責:安田千夏)

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伝承記録4〈川上まつ子の伝承—植物編〉

参考文献
宮部金吾・神保小虎「北海道アイヌ語植物名詳表」『東京地学協会報告14-1』
宮部金吾・三宅勉『樺太植物誌』1915樺太庁
J・バチェラー『アイヌ・英・和辞典 第四版』1938岩波書店
知里真志保『分類アイヌ語辞典 植物編』1953平凡社
そしてアイヌ民族博物館に情報提供くださった伝承者の方々 pasenopo iyayraykere

※アイヌ語の方言差、用法の地方差などに配慮し、代表的な名称、用途などを基本的な文献に書かれたデータを中心とし、ある程度整理して情報提供をしております。細かい部分については書ききれなかった部分もありますので、詳しくは原典をご参照ください。実際にはもっと沢山の利用データがあったことと思われ、調査は現在も継続中です。また食用、薬用のものには有毒植物も含まれますのでご注意ください。稀少植物の乱獲も心配されます。興味が沸いた方には正しいデータの使い方をお願いいたします。

  画像 和名 アイヌ語名 用途 説明

草 本

01 アオヤギソウ ヌペ(道央) 食用(危険!)  ユリ科。シュロソウの変種であり、有毒植物として知られる。アイヌは茎を食用にした(道央)というデータがあるが、安全性については未確認なので要注意。
02 アキカラマツ アリッコ(道央)キロロクキナ(樺太)他 薬用  キンポウゲ科。アイヌは実を子どものかんの虫に食べさせたり、煎じて腹痛、下痢のときに飲んだ(樺太)。道央では同じ科のカラマツソウを薬用にする。
03 アキタブキ コニ(北海道)ルウェキナ(樺太)他 薬用・食用

 キク科。アイヌはフキノトウを生で食べた(北海道、樺太)。根を煎じて子どものはしかなどに熱冷ましとして飲ませた(道央、道東)。また産後に母親、子どもに飲ませた(道央)

04 アサツキ シクトゥッ、スクトゥッ(道央、道東)他 食用  ユリ科。基準変種エゾネギもあり、見分けはなかなか困難。アイヌは茎を汁ものの具にした。また根を生で食べた(道央)。
05 アザミ類 アンチャミ←日本語(道央、道北)アユクッタ(道東、道北)アユキナ、アイェンケキナ(樺太)他 食用

 キク科。アザミの仲間は種類が多く、アイヌがどの種を利用したかは特定できないが、若芽を汁ものの具にし(道央)、脚気に全草を煎じて飲んだ(樺太)。(写真はオオノアザミ)

06 イケマ イケマ イケマ(道央、道北、樺太)、ペヌ(道央、道東) 食用(危険!)・まじない  ガガイモ科。アイヌは根を焼いて食べたが、有毒なので要注意。また根を輪切りにし、干したものを身につけて魔除けにしたり、根を噛んで呼気を吹きつけて魔払いをした(北海道、樺太)。
07 ウド ウド チマキナ(北海道)オパタラ、ポポ、セワ(樺太) 食用・薬用

 ウコギ科。アイヌは茎の皮を剥いて、生であるいは煮て食べた(道央)。根の輪切りを傷に貼る、煎じ汁で洗うなどした(北海道、樺太)。

08 ウラジロタデ ウラジロタデ クッタアマ(道央)ヌケポンポン(道東)イルレ、トゥ(樺太) 食用

 タデ科。アイヌは若い茎を生で、また実を精白したものを食べた(道央)。茎とクロユリの根、食用土(珪藻土)を混ぜて煮溶かし、油を入れて食べた(樺太)。

09 エゾイチゴ エゾイチゴ エマウリ(道央)キモウレ(道東)キナコ(樺太) 食用・薬用

 バラ科。アイヌは茎を煎じてお茶にした。またカラフトニンジン、イソツツジと混ぜて風邪の時に飲んだ(樺太)。

10 エゾイラクサ エゾイラクサ モセ(道央、樺太)イリリ(道東、千島)ハイモセ(樺太)他 食用・生活用具  イラクサ科。アイヌは若芽を汁ものの具にした(道央、道東)。茎から繊維をとり、糸にして紐や弓弦などに加工した(北海道、樺太)。糸を織り上げて着物を作った(樺太)。
11 エゾエンゴサク エゾエンゴサク トマ(北海道、樺太)他 食用

 ケシ科。アイヌは根茎を採取し茹でて食べた。干して保存もした(北海道、樺太)。

12 エゾスカシユリ エゾスカシユリ マサロルンペ(道央)イマキパラ(道央、道東)エノンカイ(樺太) 食用

 ユリ科。アイヌは根を煮る、焼く、芯を取ってご飯に炊き込むなどして食べた(道央、道東)。クルマユリの根も同じようにして食べたという。

13 エゾトリカブト エゾトリカブト ク(北海道)スルク(樺太)他 生活用具(危険!)  キンポウゲ科。全草にアコニチンなどの猛毒がある。特に根は毒性が強く取り扱いには注意が必要。アイヌはこの根を採取しクマなどを捕るときの矢毒に用いた(北海道、樺太)。
14 エゾニュウ エゾニュウ シウキナ(道央、道北、樺太)ポロクトゥ(道東、樺太) 食用

 セリ科。アイヌは若い茎の皮を剥いて生のまま食べた。苦いので、苦みが抜けるまじない言葉「シウキナトーペン、キナトーペン(エゾニュウ甘くなれ、草甘くなれ)」といってから食べたものだという(道央)。

15 エゾノリュウキンカ エゾノリュウキンカ

プイ(北海道)アトゥリ(樺太)他

食用・薬用

 キンポウゲ科。アイヌは葉や根を採取し、茹でて食べた。根は干して保存食にもした(北海道、樺太)。根の煎じ汁を傷や火傷につけた(樺太)。

16 エゾフユノハナワラビ エゾフユノハナワラビ ウシキナ(道央)プクサキナ(道東)チライキナ、カムホラ(樺太) 食用・薬用

 ハナワラビ科(シダ植物)。アイヌは葉を刻んで食べた(道央、樺太)。煎じて産前産後、肺病に飲んだ(樺太)。

17 エンレイソウ エンレイソウ類 エマウリ(北海道、樺太)他 食用・薬用

 ユリ科。アイヌは熟した実を食べた(北海道)。オオバナノエンレイソウの近似種ミヤマエンレイソウの根や実は、食あたり、下痢、虫くだしに煎じて飲んだ(樺太)。(写真はオオバナノエンレイソウ)

18 オオアマドコロ オオアマドコロ エトロラッキ(道央、道東)トララケ(樺太) 食用・薬用  ユリ科。アイヌは根を焼く、煮るなどして食べた(道央、道東、樺太)。実を食べた(道東)。特にやせた子やクマに食べさせたという。
19 イタドリ オオイタドリ イコクトゥ(道央、道東)イコクッタ(道央、道北)ハクトゥ(樺太)他 食用

 タデ科。アイヌは若い茎を生で食べた。(道央)。茎を煮物に入れて食べた(樺太)。

20 オオウバユリ オオウバユリ トゥレ(北海道)エラパ、キウ(樺太)ハル(千島) 食用・薬用

 ユリ科。アイヌは若い株から根の球根を採取し、搗き濾してデンプンを採取した。一番粉、二番粉は粉にして乾燥し、お腹をこわしたときの薬として湯に溶いて飲んだ。絞りかすはしばらくねかせてから団子状にして乾燥し、保存食にして粥などに入れて食べた(北海道、樺太)。

21 オオバコ オオバコ エルキナ(道央、道北、樺太)ウコカトゥイェ(道央、道東)他 薬用

 オオバコ科。アイヌは葉をあぶってできものに貼ると膿が早く出たという(道央、道東、樺太)。

22 ヨモギ オオヨモギ(エゾヨモギ) ノヤ(北海道、樺太)マッネノヤ(道央)他 食用・薬用・まじない

 キク科。アイヌは葉を採取し、ヨモギ団子や粥にして食べた(北海道、樺太)。煎じたものは虫くだしや傷薬にした。また風邪で高熱のときに鍋に湯を沸かし、葉を入れて湯気を全身に浴びてサウナ療法をした(道央)。窓や戸口のところに吊るして魔除けにした(道央)。

23 ガガイモ ガガイモ チトゥイレ、エプンカウ(道央)ハッケテ(道東) 食用

 ガガイモ科。アイヌはひも状の根を採取し、煮て食べた(道央)。

24 カタクリ カタクリ ケリ(道央)フレエプイ(道東)他 食用

 ユリ科。アイヌはオオウバユリと同じように根からデンプンをとって粥に入れて食べた(道央)。ひと株が小さいので少ししかデンプンがとれずに作業に苦労したものだという。

25 ガマ ガマ シキナ(道央)シキナチ、キナチ(道東) 食用・薬用・生活用具  ガマ科。アイヌは茎を生で、また蒸して食べた。干して粉末にし餅を作った(地域不明)。穂を黒焼きにして油と練り合わせ、おできの薬にした(道央)。ゴザを編む材料にした(北海道)。
26 カラフトニンジン カラフトニンジン ウペウ(道央) まじない

 セリ科。ミヤマセンキュウとともに、当博物館のある白老地方で「ウペウ」という名のついた野草。独特の臭気があり、アイヌはその臭気の効果で家に病魔が入らないようにと願い窓や戸口のところに刺した(道央)。

27 キバナノアマナ キバナノアマナ チカトマ(道央、道北) 食用

 ユリ科。アイヌは根を焼く、煮るなどして食べた。葉を汁ものの具にした(道央)。

28 ギョウジャニンニク ギョウジャニンニク プクサ(道央、道北)キト(道東、道北、樺太) 食用・薬用・まじない  ユリ科。アイヌは茎や葉、根を採取して茹でて食べた。保存食にもした。体が暖まるので風邪の薬としてもよく食べた。熱が高いときは大きな鍋に干した葉を入れ、全身に湯気をあびるサウナ療法をした。また臭いを病魔が嫌うと考え、病気が流行したときには戸口のあたりに刺しておいた(北海道、樺太)。
29 キンミズヒキ キナライタ、ライタムン(道央、道東)セタハイモシ(樺太) 薬用

 バラ科。アイヌは根を採取し、煎じて出血性の激しい下痢を伴う伝染性の病気のときに飲んだ。抜群の効き目があったという。(道央)。

30 クサソテツ クサソテツ(コゴミ) アイラキナ(道央)ソロマ(道東、道北、樺太)他 食用

 メシダ科(シダ植物)。アイヌは若芽を茹でて食べた(道央)。同じシダ植物のゼンマイ、ヤマドリゼンマイも同様のアイヌ語名(「ソロマ」)で若芽を食用にする。

31 クサノオウ クサノオウ オトンプイキナ(北海道)オトイプンキナ(道東)他 薬用  ケシ科。アイヌは便秘や痔の薬として煎じて飲んだり、茎を肛門に刺した。ヘビに噛まれたときなどに煎じ汁を傷につけた(北海道)。
32 クロユリ クロユリ アンラコ(北海道)ハ(樺太)他 食用

 ユリ科。アイヌは根を茹でたりご飯に炊き込んだりして食べた(道東)。根を干して保存食にし、食用土(珪藻土)と一緒に煮て潰し、油、コケモモの実を入れる(樺太)。

33 ゲンノショウコ ゲンノショウコ ポンライタ(道央)キナプンカ(道東) 薬用

 フウロソウ科。アイヌは茎と葉を煎じて、腹痛のときに飲んだ(道央)。有効成分タンニンが含まれ、日本各地でも古来の民間薬として同じ使い方をする。

34 コウライテンナンショウ コウライテンナンショウ

ラウラウ(道央、道東)

食用(危険!)・薬用

 サトイモ科。アイヌは晩秋に根を採取し中心の有毒部分を取り除いてから焼く、蒸すなどして食べた(道央、道東)。有毒部分を取り除かなければ、口がしびれて大変な目に遭うので要注意。また根を痛み止めの湿布にも用いた(道央、道東)。実を干して心臓病に服用した(道央)。

35 ショウブ ショウブ

ククスリ(道央、道東)セタスク(道央)パウチキナ(道北)

薬用

 サトイモ科。アイヌは食あたり、虫くだしなどに根を煎じて飲んだ(道央)。全草を煎じて打ち身の薬にした(道央、道東)。

36 タチギボウシ タチギボウシ ウクキナ(北海道)フナコ(樺太)他 食用

 ユリ科。コバギボウシの変種ともいわれる。アイヌは茎や葉を刻んで茹でたりご飯に炊き込んで食べた(北海道、樺太)。葉を干して保存し、イタヤカエデかシラカンバの樹液を醗酵させた酒に混ぜて濁り酒を造った(樺太)。

37 ツリガネニンジン ツリガネニンジン ムケカシ(道央、道東)モペ(道北)モカラペ、ライプシ(樺太) 食用・薬用

 キキョウ科。アイヌは根を焼いたり煮たりして食べた(北海道、樺太)。根を潰して揚げものにして食べた(道北、樺太)。根を焼いて血止めに使った(道東)。

38 ナギナタコウジュ ナギナタコウジュ エント(北海道)セタエント(道央) 食用

 シソ科。アイヌは茎や葉を炙って粥に入れた。お茶にして飲むと体が暖まった(道央)。二日酔いのときに飲むといいという。

39 ニリンソウ ニリンソウ プクサキナ(北海道、樺太)オハウキナ(道央)ニセウピラ(道東) 食用・薬用

 キンポウゲ科。アイヌは茎や葉を汁ものの具にした。干して保存することもあった(北海道、樺太)。煎じたものを傷薬にした(道央)。

40 ノブキ ノブキ

オイナマッ(道央)

薬用

 キク科。アイヌはウルシかぶれ、腫れもの、傷に葉を炙って貼りつけた(道央)。

41 ハマボウフウ ハマボウフウ オタシウキナ(北海道)ポフ←日本語(道央) 食用

 セリ科。浜辺に自生する。アイヌが昔から食べていたかどうかはっきりしないが、近年日本中で「薬になる、食べられる」ということで乱獲され、また海岸の浸食などの生育環境変化によっても数が激減している。

42 ハンゴンソウ ハンゴンソウ オロムン(道央)ペカンペクッタラ(道東、道北)ウライネキナ(樺太)他 食用・薬用

 キク科。アイヌは若芽を食べた(道央)。オオウバユリのデンプンをとるときに葉を入れると粘りが取れた(道東)。葉を焼いて、根を煎じて神経痛などの薬にした(樺太)。

43 ヒメザゼンソウ ヒメザゼンソウ シケペキナ(道央) 食用(危険!)

 サトイモ科。葉を茹でてから干して保存食にした。重要な儀式のときに神に捧げる供物とした(道央)。えぐみがきついので、必ず処理をしてから食べないと危険。

44 フクジュソウ フクジュソウ クナウ(道央)チライアパッポ(道東)トゥトゥテ(樺太)他  

 キンポウゲ科。

45 ホウキグサ ホウキグサ ヌンヌイェキナ(道央) 食用・生活用具

 アカザ科。アイヌは種子を煎ってご飯にふりかけて食べた。枝を束ねてホウキにした(道央)。

46 ホソバトウキ ホソバトウキ ウペウ(道央) 食用

 セリ科。いくつかのセリ科の野草に「ウペウ」という同じアイヌ語名を有するものがある(→カラフトニンジン)が、これは日高地方東部で「ウペウ」の名で伝承されてきた。アイヌは干してお茶にした(道央)。

47 ミズバショウ ミズバショウ パラキナ(道央、道北、樺太)イソキナ(道央、道東)他 薬用(危険!)

 サトイモ科。葉を化膿した部分に貼り、膿を出した(道央、樺太)。有毒植物なので食用、飲用しないよう要注意。

48 ヤブマメ ヤブマメ エハ(北海道)アハ(道央)ヌミノカン(道東) 食用

 マメ科。アイヌは早春に根を大量に採取し、煮たりご飯に炊き込んだりして食べた。干して保存することもあった(北海道)。

49 ユキザサ ユキザサ ペペロ、ケペロ(道央)他 食用

 ユリ科。アイヌは根を煮る、ご飯に混ぜる、粥にするなどして食べた。保存食にもした(道央)。

50 ヨブスマソウ ヨブスマソウ ワッカクッタ(道央、道北)ワッカクトゥ(道央、道東)ペクトゥ(樺太)他 食用

 キク科。アイヌは若い茎を茹でて食べた(道央)。中空の茎を吹く、吸うなどして笛にして遊んだ(北海道、樺太)。

51 ワラビ ワラビ トゥワ(北海道)チカソロマ(樺太)他 食用

 コバノイシカグマ科(シダ植物)。アイヌは若芽を灰汁で洗い汁ものの具にした。干して保存もした(北海道)。秋に根からデンプンをとり、粥に入れて食べた(道央)。

樹 木

52 イチイ イチイ(オンコ、アララギ) マニ(道央、樺太)クネニ(道央)他 食用・薬用・生活用具

 イチイ科。アイヌは実を食用、利尿作用のある薬とした(北海道、樺太)。樹皮を着物を染める赤色の染料にした(道北)。樹幹や枝を弓や捧酒箸、小刀の柄を作る材料にした(北海道)。

53 ヤマザクラ エゾヤマザクラ カリンパニ(道央)カルンパニ(道東)カリンペニ(道北) 生活用具

 バラ科。アイヌは樹皮を器具の補強材、綴じ合わせに使った(北海道)。樹幹で炉縁木(道央)、杵(道北)などを作った。

54 オヒョウ オヒョウ(オヒョウニレ) アッニ(北海道)アニ(道東、道北、樺太)他 生活用具

 ニレ科。アイヌは内皮から糸を作り、着物を製作した(北海道、樺太)。「アツシ織」はアイヌ語でオヒョウの樹皮製の着物の名前アットゥに由来する。

55 コブシ キタコブシ ケニ、オマウクニ(北海道) 食用・まじない・生活用具

 モクレン科。アイヌはいい香りのする樹皮や枝をお茶にして飲んだ(道央)。この香りには悪い病気を祓う力があると考え、水桶に入れたり窓のあたりに刺した(道央)。樹幹で杓子やヘラを作った(道東)。

56 クロミノウグイスカグラ クロミノウグイスカグラ エヌミタンネ(道央、道東)ハ(道央)エヌンタンネ(樺太) 食用  スイカズラ科。アイヌは7月頃につく実を生食した(道央)。アイヌ語名ハはいまや北海道の特産品としても有名な「ハスカップ」の語源。
57 サンショウ サンショウ カンチカマニ、サイソ←日本語(道央) 食用・薬用  ミカン科。北海道日高地方以南に分布。アイヌはヤマブドウの実をしぼった汁に塩を入れ、サンショウの葉を混ぜたものに刺身をつけて食べた(道央)。内皮を煎じて痔の薬として飲んだ(道央)。
58 シナノキ シナノキ(アカジナ) ニペニ(北海道)クケニ(道央、道東)クペニ(道東) 生活用具

 シナノキ科。アイヌはオヒョウと同様に内皮から糸を作り、着物を製作した(北海道)。樹幹は割れにくいので舟底の材にした(道央)。

59 タラノキ タラノキ アユニ(道央)ホカアユニ(道東)セワッニ(道北)セワニ(樺太)他 食用・まじない・儀式用具

 ウコギ科。アイヌは若芽を食べた(北海道)。樹幹のトゲに魔を祓う力があると考え、木幣を作った(道央)。疫病が流行したとき、枝を魔除けの意味で立てておいた(道東、道北)。

60 ツルウメモドキ ツルウメモドキ ハイプンカ(道央)レイェプンカ(道東)オッソマニ(樺太)他 生活用具

 ニシキギ科。アイヌは内皮から糸を作った。丈夫なので弓弦や漁具に使った(北海道)。

61 ハマナス ハマナス マウ(道央、樺太)オタロ(道北)オタロ(樺太)他 食用・まじない

 バラ科。アイヌは実を食用にした。干して保存もした(北海道、樺太)。疫病が流行したとき、トゲだらけの枝を魔除けの意味で戸口に立てた(道央)。

62 フッキソウ フッキソウ トパキナ(道央)フットマキナ(道東)ユトマキナ(道北) 薬用

 ツゲ科。アイヌは茎や葉を婦人科系の病気の薬として煎じて飲んだ(道央)。葉を便秘や胃痛に煎じて飲んだ。風邪をひいたときにキハダの皮と一緒に鍋で煮立てて湯気を吸い込みサウナ療法をした(道東)。

63 ホウノキ ホオノキ ニ(北海道)イカヨニ(道東) 食用・薬用・生活用具

 モクレン科。アイヌは実を煎じてお茶にした。冷えからくる下腹部の痛みに効いた(道東)。樹幹で矢筒や杓子などを製作した(道央)。

64 ミズキ ミズキ ウトゥカンニ(北海道)イナウニニ、イナウナニ(道南) 儀式用具

 ミズキ科。アイヌは樹幹、枝で木幣を作った(道央)。この木で作った木幣はヤナギ類で作る木幣よりも格が上であるとされた。

65 ヤマブドウ ヤマブドウ

ハッ(道央)ニカオ、ニコ(道東)ハ(樺太)※樹皮はストゥカ、シトゥカ(北海道)

食用・生活用具

 ブドウ科。アイヌは若葉、ツルの若芽、実を食用にした(道央、道東)。ツルで靴やこだしを作った(道央)。

           
北海道白老郡白老町若草町2丁目3番4号 一般財団法人アイヌ民族博物館

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