アイヌ民族博物館は、アイヌ文化を紹介する施設・通称「ポロトコタン」内に、1984(昭和59)年に開館した博物館です。ポロトコタンは、アイヌの伝統舞踊を見学したり、ものづくりを体験することができるチセ(アイヌの伝統家屋)群と、民具資料を展示・公開している博物館とに分かれており、アイヌ文化のすべてを見聞きし、体験することができる施設です。

博物館が所蔵しているアイヌ民族資料は約5,000点あり、その中心となっているのが、故児玉作左衛門博士が収集した約2,600点の資料で、「児玉コレクション」と呼ばれています。「児玉コレクション」は、アイヌの人々の衣食住・生業・信仰・芸能など生活文化のすべてを網羅していますが、特に、衣服・装飾品、信仰用具が充実しており、コレクションの半数近くを占めています。他の資料として、田中忠三郎コレクション、亮昌寺コレクション(寄託)、宮本資料などがありますが、所蔵資料のなかで衣服は、北海道・サハリンのすべての種類があり、装身具も首飾りや耳飾りなど数多く収蔵・公開されています。信仰用具は、古い時期に収集されたものから、儀礼を実施した際に使用した用具も資料として収蔵しています。また、ニヴフやウイルタなど、アイヌの人々と深い関わりを持つ周辺少数民族の資料も収蔵しており、アイヌ文化との比較など、北方少数民族文化の研究に役立てられています。

常設展示場には約1,500点の資料が展示され、アイヌの人々の一生、日々の生活を知ることができます。博物館はまた、無形文化伝承・保存活動の一環として、イオマンテ─飼い熊の霊送り儀礼やチセノミ─新築を祝う儀礼、イワテ─用具類の霊送り、チサンケ─舟降ろしの儀礼、シヌラッパ─先祖供養などを実施しており、これらの儀礼は広く一般にも公開して、アイヌ文化の振興に寄与しています。

アイヌ民族博物館は、アイヌの人々によりアイヌの有形・無形双方の文化を総合的に紹介する世界で唯一の博物館です。
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