死
死を迎える時のために、密かに特別な手甲や脚絆、履物などの死装束が用意されました。男性の死装束は多くの場合、主婦が用意したといいますが、女性の場合は、母方の系統の女性に預けられたことが多かったようです。女性は、最も大切な死装束として下ひもを付けますが、嫁と姑では下ひもが異なるため、お互いの死装束を着せることはできないものとされました。
葬式は、僧侶のような専門的な宗教者が取り仕切るわけではなく、引導渡しもすべて一般の男性によって死者の家で行われました。
葬儀には、近隣の集落からも、大勢の人々が弔問に訪れたといいます。
死者が出ると、墓標になる木が山から切り出されます。形は地方によって異なります。白老地方では、男性用の墓標は槍先、女性用の墓標は縫い針の頭部をかたどったものだといわれます。
埋葬は土葬でした。死者が生前使用していた日用品や、装飾品、宝物などを副葬することが多かったようです。
かつては、一般に、墓参りはしなかったといいます。その代わり、各家庭で日常的に火の神を通じて先祖に供物を捧げるほか、定期的に先祖供養の儀式を行いました。
あの世での死者の住居として、それまで住んでいた家を焼いて送るという風習があったことも知られています。あの世では、死者たちが村をつくり、この世と同じような生活をしていると信じられていました。 |