V-14.神窓(ロルンプヤラ)から家の中に招き入れる
こうして解体された頭部、たたまれた毛皮、胴体や足の肉、骨、内臓などのすべてがロルンプヤラを通して家の中に入れられる。炉の上座には花ゴザがこれらすべてを上に置けるように敷かれる。ただし、炉からやや離れた位置に敷く。仔熊を解体したのであれば2枚ほどのゴザでこと足りるが、この熊は大きい成獣ゆえ、5枚ほども敷かなければ置けない。ゴザは南北(家の短軸と平行)に敷く。花ゴザの一番前にはポンチタラペ(pon citarpe・小さい花ゴザ、祈りの際にトゥキやエトゥヌプ、供物などを載せたオッチケを置くための模様入りの小さなゴザ)を炉からやや離れた位置に敷くのである。
家の中の準備ができたら、まず先にきれいにたたまれた毛皮の上にパッチに入れられた頭部を取ってこれを載せ(頭の皮を元の状態になるようにすっぽり覆いかぶせた状態にして)、これを2人の男が持ってロルンプヤラから入れ、これらを上座に敷いた小さな花ゴザの上に安置する。この段階で胴体、足の毛皮がたたまれ、それに頭部がつけられた熊は神の客人となって家の中に招き入れられるのである。
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| 86 上座に招き入れられた熊神 |
オッチケの上に載せられた前・後足のウレハルとウレポネ(ure pone・足首から先の骨)を窓から入れて、これを頭部と毛皮の左右に前・後足それぞれ対にし、二つのオッチケに載せて置く。次にロルンプヤラの下で切り分けた足の肉を入れる。足の肉は体の下の方から、つまり後足から先に入れる。続いて、胴体の肉や骨、キルプ(kirpu・脂肪)を順次入れ、それぞれ肉は肉、骨は骨というようにかためて置く。
イナウルの上に置いた性器・こう丸もオッチケに載せて入れる。これをシソ側の先方に置く。最後に内臓を入れる。内臓は上座の一番端側(ロルンプヤラ側)に置かれる。ヌサの前で使用したトゥキやイクパスイ、オッチケ、パッチなども窓から入れる。酒の入ったパッチはヌサの端にあけて空にしてから入れる。
こうして、上座には頭部を先頭に、肉や骨、内臓を入れた入れ物がずらりと並ぶ。中央の縦列には骨を入れた入れ物、その左右には切り分けられた肉が入ったパッチ、後方には内臓が入ったパッチがところ狭しと並べられる。上座の一番手前のシソ側にはまたエトゥヌプを載せたオッチケが2個置かれる。そのうちの1個にはピサクが入れられている。
今回は施さなかったが、日川翁によれば、上座に置いた熊の頭部に雄熊であればエムシを添え(エムシアッを首にかけ、エムシを熊神の左側に置く)、雌であればタマサイ(tamasay・玉飾り)やニンカリ(ninkari・耳飾り)をかけるという。このように飾ることは白老でも同様であり、『アイヌの足跡』や古い写真記録にもそのことが記されている。
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| 87 お膳に載せられたウレとウレハル |
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本書および翌1990年に実施されたイヨマンテの実施報告書は、復刻合本として再刊されており、通信販売も可能です。
伝承事業報告書2〈イヨマンテ-日川善次郎翁の伝承による-〉
- 2002.11.30発行
- B5版294ページ
- 定価 2,625円
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