V-11.天に花矢を射る
団子が撒かれた後、1人の若者が弓を持ち熊の横から東の空に向かって矢を射る。矢は熊におみやげとして捧げられたヘペレアイである。弓は新しく作られ上端にイナウルがつけられたものである。「東」は神聖な方角とされている。すなわち、東の天に向かってヘペレアイを射ることによって、天に舞い上がって神の国に行こうとする熊の神に対しその道筋を誘導し、そこを払い清めるのである。この他に日川翁によれば、花矢を天に射ることに対して、「人間界で行なっているめでたい儀式を天上の神の世界に知らせるような意味もある。だからカント(kanto・天)まで届け、という意味を込めて射る」のだともいう。
ポンヌサの前に座っている古老たちも立ち上がって弓とヘペレアイを手にし、次々と東の空に、南の空にと射る。その後ポンヌサの前に別火が焚かれる。ここに燃やす木は、先の朝一番でヌサにイナウを立てる際にヌサから間引かれた古いストゥイナウとハシイナウである。
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| 76 東の空に花矢を射る |
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本書および翌1990年に実施されたイヨマンテの実施報告書は、復刻合本として再刊されており、通信販売も可能です。
伝承事業報告書2〈イヨマンテ-日川善次郎翁の伝承による-〉
- 2002.11.30発行
- B5版294ページ
- 定価 2,625円
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