V-8.熊の前での祈り
熊の下になっているイヌンパニをとりはずし、別に用意した長さ70~80cmほどの丸太を入れて熊のあごを載せる。こうすると熊の顔が水平状態になる。そのような体勢にしたまま、今度は熊の前で日川翁の丁重な祈りが始まる。日川翁一人が熊のすぐ前にヌサを背にして座り、他の3人の古老たちがその横に座る。トゥキ4個とその上にイクパスイが載せられたオッチケがすぐ後ろのヌサの下に敷かれた花ゴザの上に置かれている。そのトゥキのひとつが日川翁に渡され、エトゥヌプで酒がトゥキに注がれる。日川翁は右手にキケウシパスイを持っている。他の3人の古老にもトゥキとイクパスイが渡され酒が注がれる。
日川翁がキケウシパスイで熊の口元あたりに2~3回ほど酒を捧げて、祈り言葉を述べる。この間、他の3人の古老がイクパスイで熊の頭部に酒を捧げる。ここで日川翁が述べた祈りは、「我らが育てた神よ!このように神々の計らいであなたは神の国、父母のお膝元に行かれるでしょうから、そこに無事に行けるように重々しい神からことづてがおありでしょう。ですから、怒る気持ちを決して持たず安らかに無事に神の国に着くことができるよう、この家から私がお祈りするのです・・・・・・。」というような意味のものである(V-9参照)。
祈り言葉が述べられた後、日川翁をはじめとする4人の古老のトゥキとパスイは他の男たちや女たちに次々と渡されて行く。
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| 72 休まれた熊神を前にしての祈り |
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| 73 休まれた熊神を前にしての祈り |
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本書および翌1990年に実施されたイヨマンテの実施報告書は、復刻合本として再刊されており、通信販売も可能です。
伝承事業報告書2〈イヨマンテ-日川善次郎翁の伝承による-〉
- 2002.11.30発行
- B5版294ページ
- 定価 2,625円
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