V-5.ヌサの飾り
祈りを終え、イナウも無事に立て終えると、ヌサに張られた花ゴザの表面にさまざまなものが飾られる。これらは総じて神の国に旅立つ神へのプレゼント品である。張られたゴザの中央とその左右にヘペレシト(heper sito・仔熊用の団子)が3個、その下の左右に2個のサッチェプ(sat cep・干し鮭)を、花ゴザの上部左右にイナウルを巻いたイカヨプ(ikayop・矢筒)を1個ずつ、その下の左右にエムシアッ(emus at・刀掛け)がつけられたエムシを一振りずつ掛ける。エムシにもセッパ(seppa・ツバ)と鞘のまん中にイナウルがつけられている。さらにエムシの下にイナウルをつけた短い儀刀・エムシポイコロを掛ける。5~7本ずつ束にした矢柄つきのヘペレアイも5束ほど適所にかける。花ゴザの左右には、左手に3本、右手に2本の新しいクー(ku・弓)が立て置かれる。クーの上端にもイナウルがつけられてある。
このように、おみやげ用とされる品々にはシナの皮で撚った細いひもがつけられ、これらはすべてゴザに刺された止め串・ソラリプにそのひもを引っかけるようにして飾られるのである。
こうして飾られたゴザの下には、熊の息を止めるときに使用する丸太・イヌンパニ(inumpa ni・それ、すなわち神の首を締める木、2本1組となっている)が横に置かれている(2本1組のうち下にする方の丸太をヌサの下に置く。もう一方の上の方の木は家の壁に立てかけてある)。そこにも花ゴザを一枚敷き、その左側にシントコが2個、右側に漆塗りのスウォプ(suwop・蓋がついている箱)とマサシントコ(masa sintoko・行器の一種、円形ではなく角型で薄い板を張り合わせて作ったシントコ)が置かれる。これらにもイナウルがつけられる。
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| 64 ヌサの飾りつけ |
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| 65 飾られたヌサ(左がポンヌサ、右がポロヌサ) |
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本書および翌1990年に実施されたイヨマンテの実施報告書は、復刻合本として再刊されており、通信販売も可能です。
伝承事業報告書2〈イヨマンテ-日川善次郎翁の伝承による-〉
- 2002.11.30発行
- B5版294ページ
- 定価 2,625円
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