V-4.ヌサとそこにまつる神々
日頃、当財団ではポロチセのポロヌサに12神、ポンヌサに1神を祀っている。このうちポロヌサのワッカウシカムイ(wakka us kamuy・水の神)、コタンコロカムイ(kotan kor kamuy・コタンを司る神)、シリコロカムイ(sir kor kamuy・大地を司る神)の3神にはキケパラセイナウを立て、他はキケチノイェイナウを立てる。今回のイヨマンテではこれらに加え、アトゥイコロカムイ(atuy kor kamuy・海を司る神)も日川翁の指導でポロヌサの中に立てた。白老は海がすぐそばにあり、ここの人々は昔から海の民であったため、イヨマンテに際しても、必ずこの神を祀らなければならないという日川翁の意見があった。そのため、当初アトゥイコロカムイに対しては海辺の河口付近にキケチノイェイナウを立てる予定だったが、現在のポロトコタンはすでに浜から相当はなれたところに位置していることもあって、最終的にはこの神を今回に限りヌサの中に祀ることにしたのである。
ヌサに祀られた神とそのイナウは次の通りである。なお※はキケパラセイナウ、その他はキケチノイェイナウである。

<ポンヌサ>
- ヌサコロカムイ(nusa kor kamuy・ヌサを司る神、穀物の神とされる)
<ポロヌサ> ヌサの北側から順に
- シリコロカムイ(sir kor kamuy・大地を司る神)※
- ハシナウウッカムイ(has inaw uk kamuy・ハシイナウを受け取る神すなわち狩猟の神)
- クッタルシヌプリコロカムイ(kuttar us nupuri kor kamuy・クッタルシ山の神)
- メトッウシカムイ(metot us kamuy・山奥にいる神すなわち熊の大王神)
- ペテトクンカムイ(pet etok un kamuy・川の源にいる神すなわち水源の神
- ケマコシネカムイ(kema kosne kamuy・キツネの神)
- トーコロカムイ(to kor kamuy・沼を司る神) ※
- ワッカウシカムイ(wakka us kamuy・水の神) ※
- トマリコロカムイ(tomari kor kamuy・舟付き場を司る神)
- チワシコロカムイ(ciw as kor kamuy・川口を司る神)
- マサラコロカムイ(masar kor kamuy・海岸を司る神)
- アトゥイコロカムイ(atuy kor kamuy・海を司る神)
- コタンコロカムイ(kotan kor kamuy・コタンを司る神)
以上のうち、当財団では通常コタンコロカムイに対してキケパラセイナウを立てている。しかし、今回は日川翁の希望でコタンコロカムイには日川翁自ら製作したチカプイナウ(キケチノイェイナウの上部に二箇所短い削りかけ=ラプを施したイナウ)を立てた。
|

本書および翌1990年に実施されたイヨマンテの実施報告書は、復刻合本として再刊されており、通信販売も可能です。
伝承事業報告書2〈イヨマンテ-日川善次郎翁の伝承による-〉
- 2002.11.30発行
- B5版294ページ
- 定価 2,625円
|