II-3.酒漉し(サケヌンパ)
次に、いよいよ織田ステ媼を先頭に白老の3名の女性年輩者が酒樽のところに行き、サケヌンパ(sake numpa・酒をしぼる、漉す)の作業にとりかかった。酒を作るための漆塗りの樽を白老ではトノトカラシントコ(tonoto kar sintoko・酒を作る行器)という。以前はこれで醸造されたらしい。漉す酒を落とすために別の樽が二個用意されてある。2斗樽と4斗樽である。4斗樽の中に2斗樽を入れる。4斗樽の上部にイナウルがつけられてある。サケヌンパニ(sake numpa ni・酒をしぼる木)は細長いミズキの棒2本それぞれ両端同士ひもで結んだものである。これを東西方向に向けて置き、その上に大きなイチャリ(icari・ザル)を載せ、その中にピサク(pisak・柄杓)を添えておく。
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| 38 酒漉し時のセット関係 |
酒かき混ぜ棒で織田媼が樽に入っている醸造酒を1~2分ほどかき混ぜる。次に、同媼がピサクを持ち、その底で酒の表面をなでるようにし、ピサクで1杯汲んでザルにあける。ザルには粕が残り、水分は下の樽に落ちる。3回ほどそうして汲み上げて落とした後、他の女性が二人向かい合わせでザルに残った粕を搾るように撫でたり押さえるような動作をして水分だけを下の樽に落としていく。ピサクで何回も汲んでザルにあけ移し、そのように女性がザルの中で手で搾る動作が続けられ、酒を漉していくのである。
いいかげんにザルの目が酒粕で詰まってきたら、別のザルに取り換える。粕はパッチ(pacti・漆塗の鉢)に入れて別にとっておく。
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| 39 酒漉し |
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| 40 酒を搾る |
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| 41 搾られた酒 |
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| 42 酒粕 |
ある程度漉したら、織田媼と他の女性一人がそれぞれザルを持ってチセアパ(cise apa・家の入口)に祀ってあるアパサムシカムイ(apa sam us kamuy・戸口の付近にいる神、木幣を壁に刺してある)のところに行き、オンカミした後、ザルをそのカムイ(木幣)に当てるようにしながら右手でザルを軽く叩いて粕をかける。セムアパ(sem apa・張り出しの入口)の左右にも同じようにザルを当てるようにしながら手で叩いて粕を振りかける。その後、同じ様な作業で酒を漉していく。
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| 43 戸口の神(アパサムシカムイ)に酒粕を捧げる |